相続税の課税対象財産から差し引かれる財産についてご説明します。
◇相続財産から差し引かれる財産
相続人が被相続人の債務を承継したり、
被相続人の葬式費用を負担した場合には
相続財産から差し引いて(債務控除という)相続税を計算します。
ただし、相続または遺贈によって財産を取得していない相続人が
実際に債務を継承したり、葬式費用を負担しても債務控除はできないので
全体としてその分課税価格が多くなってしまいます。
①債務
差し引かれる債務には被相続人の借入金、買掛金(未払いの品物の代金)
などの一般的な債務の他に、以下のようなものがあります。
ア.未払いの固定資産税や住民税など
イ.死亡年の1月1日から死亡日までの所得対する所得税
(準確定申告した額)
ウ.一定の条件に当てはまる保証債務、連帯債務
※連帯債務のときには不動産の名義や返済状況から
実質的な債務者が誰であったかを判断した上で控除します。
※債務控除できない債務としては、
団体信用生命保険付きの住宅ローン(保険金で債務弁済される)
非課税財産に対する債務(墓地、仏壇などの購入未払い金)
②葬式費用
ア.寺などへの通夜・葬儀の謝礼、戒名料への支払い
イ.葬儀社、タクシー会社への支払い
ウ.通夜、葬儀にかかった費用
エ.通常の範囲でのお手伝いの人への心づけ
いずれも領収証をそろえて、相続税の申告のときには
そのコピーを添付します。
心づけなど領収証をもらえないものについては
出金メモ(一覧表等)を残しておきましょう。
贈られた香典は非課税なので葬式費用から差し引く必要はありません。
墓地や墓碑などの購入費、香典返しの費用や
葬儀後に行われる初七日や四十九日の法要の費用は
この葬式費用には含めることはできません。
よって控除はできません。
なお、被相続人が生前に購入した墓地、墓碑などは非課税財産になるので、
墓地や墓碑をローンで購入し、そのローンが残っている場合でも
控除される債務としては取り扱われません。
最近では葬儀と同じ日に初七日の法要をあわせて行うことが
多くなっています。
厳密には初七日は法要でその費用は葬式費用に含まれないので
相続財産から差し引くことはできません。
また、納骨の費用は法要と一緒に行わない場合には葬儀の一環として
葬式費用に含めることができます。
③医療費
死亡後に精算した医療費は相続財産から債務控除します。