栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
相続問題に絡む「トラブル事例」と(もしあれば・・)その対処方法についてお伝えします。
今回は「遺産分割協議で被相続人の借金のことを決められるか?」についてです。
被相続人の背負っていた借金を負いたくなければ、相続放棄の方法を採るべきです。
相続放棄をすると被相続人の遺したプラス財産の相続もできません。
最初から迷いなく相続放棄を選択する方は相続財産は借金の方がはるかに多いと確信して相続放棄をしているのだと思います。
今回は相続財産についてはプラスの方が多いかなぁと考えている方のお話です。
相続放棄は期限内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行わなければなりません。
上記の方々の中にはそれを面倒だと考える方が結構いらっしゃいます。
「裁判所に申し立ててその結論を待つなんて時間かかるし、面倒だから、遺産分割協議書に誰が借金を引き継ぐか書いておけばいいじゃん」
という話になるわけです。
この方法で「被相続人が背負い込んでいる借金についてそれですべて解決!」と言えるのでしょうか?
答えはノーです。
遺産分割協議で借金を特定の相続人がすべて相続すると決めたとしても、それは相続人同士の内部的な約束事に過ぎません。
債権者にとってはまったく関係ないことです。
被相続人にお金を貸していた債権者は遺産分割協議の内容に拘束されることなく、各相続人に対して、それぞれの法定相続分に応じて、借金を返済するように請求することができるのです。
遺産分割協議によって、被相続人の借金の相続を決めることができるとすれば、相続人中の返済能力のない人に借金を相続させて、その相続人を自己破産させて、借金を0円するという手法も可能になってしまいます。
遺産分割協議で借金の相続を確定的にしたいのであれば、遺産分割協議の結果について債権者の承認が必要になります。
相続人の独断専行は債権者に通用しません。
2017.8.24記
債権者の立場からしても、相続人サイド(債務者サイド)の都合で今後の債務の回収状況が決められてしまったらたまったものではありません。
貸した金はきっちり回収したいのが人情。
財力がある相続人に債務を引き継いでもらいたいと考えるのは当然です。
2018.08.10記
銀行に借り入れのある方がお亡くなりになった場合には、完全に借金の引き継ぎを回避したいのなら、遺産分割協議とは別途に免責的債務引受契約の締結が必要になります。
以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。
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