栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
相続問題に絡む「トラブル事例」と(もしあれば・・)その対処方法についてお伝えします。
今回は「父死亡、母認知症、遺産分割協議をどうする?」についてです。
遺産分割協議は相続人全員で行うことが必要です。
しかし、ただ全員でやればいいというわけではありません。
相続人全員が十分な判断能力を有していることが必要です。
相続人中に認知症等で判断能力の低下が見られる方がいるような場合には、
その相続人ご本人を交えた遺産分割協議は無効となる可能性があります。
父親が死亡して、母親は存命中ですが、
認知症で判断能力が常態的にに全くないという場合、
遺産分割協議の前に母親について、
家庭裁判所に成年後見開始の審判の申し立てをし、
成年後見人を選任してもらう必要があります。
成年後見人が母親を代理して、他の相続人とともに遺産分割協議を行います。
成年後見人を交えた遺産分割協議においては、
母親の法定相続分の確保が求められますので、
特定の相続人(たとえば長男)が全財産を相続するといった内容の
遺産分割協議は認められない可能性があります。
成年後見人の選任には一定の費用や時間がかかります。
請求すればすぐに選任されるというものではありません。
また成年後見人は遺産分割協議が終われば、
任務終了というわけにはいかず、
相続人本人が死亡するまで任務が継続します。
したがって、相続人中に認知症等により
判断能力に支障がある方が含まれることが見込まれる場合には、
公正証書遺言を作成する等の生前相続対策をとることをお勧めします。
遺言を遺しておけば、上記のような手間を避けることができます。
2018.11.12記
最近遺産分割協議に絡めて成年後見人の申立を行うケースの受託が
相次いでいます。
認知症の相続人が含まれるケースが多いですが、
中には相続人の中に知的障害者が含まれているケースもあります。
遺産分割協議書の作成にあたっては家裁の書記官と打ち合わせを行いますが、
いかなるケースでも遺産分割協議書の内容として
その方の法定相続分の確保は必ず求められます。
以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。
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