栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室室長の石川です。
相続問題に絡む「トラブル事例」と(もしあれば・・)その対処方法についてお伝えします。
今回は「預貯金の解約に四苦八苦!?」です。
預貯金は、口座の名義人が亡くなると、
その相続人から金融機関に死亡連絡をしなくても
口座が「凍結」されてお金がおろせなくなります。
金融機関の方が新聞のお悔やみ欄をチェックしているためです。
たまたま金融機関の方が見逃していれば、
少しの間はキャッシュカードで亡くなった方のお金がおろせるかも知れません。
しかし定期預金はキャッシュカードでは引き下ろせません。
定期預金はどうしても相続人が金融機関に被相続人の死亡の届けをして、
相続に関する所定の手続をする必要があります。
法的には、預貯金は遺産分割協議をするまでもなく、
各相続人が法定相続分の割合に応じた金額を自動的に相続することになっています。
しかし実際には各相続人が金融機関の窓口に行って、
自分の法定相続分だけの預貯金をおろそうとしても
それに応じてくれることはありません。
金融機関が預貯金の解約に応ずる際には金融機関ごとの所定用紙
もしくは遺産分割協議書に、相続全員の署名実印押印及び印鑑証明書の添付が必要です。
相続人の人数が多い場合や何らかの事情によって
遺産分割協議ができない場合には
相続人が「凍結された」預貯金を解約してお金をおろすのに
大変苦労することになります。
以上、栃木・宇都宮の相続手続何でも相談室でした。
2018.10.01記
従前の判例では、相続預金について、
各相続人は法定相続分に応じた払戻しを請求することができるとされていました。
金融機関実務においても、原則としては、相続人全員の合意による払い戻しが求められているものの、相続人全員の合意が難しい場合には、相続分に応じた払い戻しを認めることも多かったです。
しかしながら、平成28年12月19日の最高裁の決定により、
今後は遺産分割協議の成立なしに、相続預貯金の払い戻しを行うことは
難しいと考えられます。
私も実際、郵便局の窓口の方に
「最高裁の判断で今後は相続人一人一人からの払い戻しはできなくなりました」
と言われたことがあります。
その方はおそらく入って間もない若い女性でしたが、
金融機関内ではここまで徹底周知されていることが分かりました。
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