相続放棄できなくなってしまうケース(法定単純承認)

法定単純承認(民法第921条)のお話です。

 

特に相続人が遺産を処分したとき(民法第921条1号)が重要です。

 

相続人が遺産を「処分」してしまうと、

相続放棄できなくなり、単純承認するしかありません。

 

それでは、どのようなことをすれば遺産の処分にあたるのでしょうか?

 

ちょっとでも遺産に手を付けたら単純承認になるというわけでもありません。
もちろん、ご遺体や所持品を引き取ったからといって、

遺産の処分になることはありません。
ゴミ同然の物を業者に依頼して廃棄処分しても大丈夫です。
また、被相続人が所持していた現金をもらったり、

被相続人の財産から葬式代を出しても、

遺産の処分にはならないとされるのが普通です。
ただし、その金額があまりに高額だった場合には

遺産の処分にあたるとされることもあります。
  
遺産分割協議、売掛金債権の取立て、代物弁済は遺産の処分にあたり、

このような行為をした場合には単純承認にあたるとする裁判例があります。
  
不動産の名義を被相続人から自分に変更することは、

遺産の処分にあたるのですが、

このことをよく知らずに名義変更してしまう方もいらっしゃいます。
名義変更(登記)をするには注意が必要です。
  
相続放棄を検討しているのであれば、

遺産をどうにかするときには、それが遺産の処分にあたらないかどうか

慎重に確認すべきです。


仏壇やお墓の費用を被相続人の預金から出してもよいか?

被相続人の預貯金から葬式、仏壇、お墓の費用に充てた場合は

どうなるでしょうか?


葬式代は、よほど高額でない限り、遺産の処分にはあたりません。
仏壇やお墓の費用についても、

遺産の処分にはあたらないことが多いと考えられています。

 

大阪高裁平成14年7月13日決定は、

葬式・仏壇・墓石の費用が社会的に見て不相当に高額であると断定できず、

また、相続人が不足分を自己負担した事案で相続放棄の申述を受理しました。

 

ですから、家族の預貯金を降ろして葬式や祭祀費用を出した後でも、

相続放棄できる場合があります。
ただし、支出する金額によっては相続放棄が認められない場合もあり得ます。

 

遺産と形見分け
家族が亡くなったとき、家族が愛用していた物があって、

これを形見分けしたいということがあります。


形見分けをした場合、その行為は単純承認になってしまうのでしょうか?

形見分けが遺産の処分や遺産の隠匿にあたるかどうかは、

遺産の総額との兼ね合いもあり、難しいところです。

 

たくさんある遺産中のわずかな物をもらっても

遺産の処分にはあたらないとする例がある一方、

古い判例(大審院昭和3年7月3日)では

経済価値を有する物をもらえば遺産の処分に該当するとしています。

 

また、被相続人が洋品店を経営していた場合に、

その店の商品すべてを持ち去ることは、
形見分けを超えるとする裁判例(東京地判平成12年3月21日)が

あります。

 

形見分けもちょっとした物であれば問題ありませんが、

それなりの金額になるのであれば注意です。

 

生命保険金や死亡退職金を受け取ったら単純承認になってしまうか?

たとえば、生命保険金や死亡退職金などは、

原則として相続財産ではなく、受取人固有の財産と考えられています。

 

そのため、被相続人が亡くなって生命保険金が受取人に支払われ、

その受取人がその生命保険金を使ってしまったとしても、

「相続財産」の処分ではないので、
法定単純承認は成立しません。

 

 

 

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